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gajuの展覧会

公開日: : 映画・本

gajuは、天草の牛深出身の造形作家である。

私が彼女を知ったのは、
イソップ物語の作者、イソポを様々な粘土を駆使して表現し、
それを写真に撮ってリメイクした絵本「ESOPO」を
本屋さんで見たときだった。
独特の世界だな、
というのがありきたりだが、私の最初の印象だった。

ちょっと五足のくつの持つ異世界感にも
共通するものがあるようにも感じていた。
なるほど、話してみると、
「純」というものには興味が湧かない、という点などは、
五足のくつと同じ方向性を向いているのかもしれない。

その彼女の展覧会が熊本の島田美術館で催された。

島田美術館は、熊本の誇る私設美術館である。
現在は、財団法人で運営されているが、
あの宮本武蔵が二本の太刀を持ち蹲踞する姿の絵を
所蔵している美術館といえば、
ご存じの方もいらっしゃることだろう。

そのような由緒正しい美術館の正門をくぐると、
すぐ左手にギャラリーがある。

そこには、すでにgajuの世界が始まっていた。

1m四方の白い布に描かれた、
幾つもの見つめる表情のちがう瞳の前で
微動だにせず立っている30代の女性がいた。
15分くらい経ってまた戻ると、彼女の瞳からは涙が溢れていた。
自由に書けるようになっている白紙の芳名帳に
「涙が止まりませんでした」と別の人が書いていたが、
明らかに彼女のファンと思われるような女性たちで
会場はいっぱいだった。

ギャラリー奥のほうへ移動しながら、
私の中に不安感のようなものが湧いてきた。
それは決して嫌な感じではなく、
不安であっても調和がとれているというような妙な安心感があった。

そして、gajuの創造した白いベッドをみたとき、
メキシコシティーのフリーダ・カーロ美術館でも
似たような感覚が湧いてきたことを思い出した。

フリーダ・カーロは瀕死の自動車事故に遭ったり、
体中に手術の縫い跡の残るような
激しい体験からのインスピレーションを絵にした。
彼女の描く女性の胸の痛々しい傷から人は、
不安と絶望を感じるが、
しかし、その傷のなかにまた新たに展開する世界を観たとき、
そこには調和と永遠の安心をも同時に人は、得ることができる。
そのような力強いメッセージを
私はフリーダ・カーロの作品群から受け取った。

島田美術館の門前で、gajuと話す時間を持てた。
来てよかった、と彼女に伝えると、喜んでくれた。
「これから天草まで帰るんですか」
「いや、熊本の学校に通っている娘とごはんを食べて、
酔っ払って寝るよ」と答えると、よかった、と彼女は言った。
わざわざ自分の展覧会のためだけに
遠く天草から出てきたのではない、
ということを確認できてよかった、と彼女は言ったのだろう。

gajuが天草の女であること
を私は誇りにおもいながら展覧会を後にした。

IMG_0242

↑ 作品名『安定(あんじょう)』
不安と調和を同時に得ることの快感

IMG_0252

↑ 子どものころ、時計の長針が動く瞬間を見たくて
ずっと時計を見ていたことを思い出した。
久しぶりに時計に見入った

 

IMG_0244

↑彼女にオーダーして作品を作ってもらえるそうだ。
この鏡をオーダーしたいなあ。
きっと五足のくつに似合う

IMG_0249

 

 

IMG_0243

 

IMG_0247

↑写真は撮ってないが、
観客をびっくりさせるような仕掛けの
からくりおもちゃのような作品もあり、楽しかった

 

IMG_0254

↑ 彼女がgaju
この日、彼女が求めている気がしていた陶芸家の河井寛次郎の本を手渡すことができた

 
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石山離宮 五足のくつ オーナー 山﨑 博文
下田温泉一の老舗『旅館 伊賀屋』の六代目として 天草下田温泉に生まれた天草育ちの天草男児。 2002年7月に、九州の西の果て、東シナ海を見渡す山に 全室露天風呂付き離れの温泉旅館『石山離宮 五足のくつ』をオープン。 趣味は散歩と温泉と水泳。旅行家としての一面も持つ。
石山離宮 五足のくつ オーナー 山﨑 博文

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