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刺身定食

公開日: : 父として息子として夫として

私は、天草にいるときは、毎日魚の刺身を食べる。
若い頃は、こんなに刺身を食べていなかったが、
年を重ねる毎に刺身を好んで食べるようになってきた。
だんだんと亡くなった父の嗜好に似てきたということか。

車で20分くらいのところに「ひらはた」という居酒屋があり、
毎日のように通っている。
無口な主人夫婦と従業員数名の小さな店だが、
毎日通っても、なんの話もしないでいいのが心地よい。
天気の話さえしない。
私は、「刺身定食ひとつ」「ごちそうさま」というだけ。
ただ、ランチの刺身定食を平げた後、近くのプールで泳いで、
夕方6時ころに再度、「刺身定食ひとつ」と言ったときは、
主人がちょっと驚いた顔をしていた。
だが、そのときでさえも彼は無駄口を叩かないでいてくれた。

今日は、朝から下田温泉祭の打ち合わせのために
「ひらはた」には行けないので、料理長の岩本に刺身を頼んでおいた。

「冷蔵庫に入れておきました」と、連絡があったので、
さきほど楽しみに冷蔵庫のドアを開けてびっくりした。

もちろん天然のタイヤヒラメ、アジ、アオリイカにヤリイカと
大きな鉢に盛られた刺し盛がそこには置かれていた。
ふつうに10人前といってもいいだろう。

私は、炊き立てのごはんを左手にさっそくその刺し盛に挑んだ。

「おいしい!」

ふと、右手に置いてあった鏡に映る刺身を貪る自分の姿は、
幼い頃に見ていた父の姿にそっくりだった。

そういえば、私は昨年、
伊賀屋の代表として同業者の保証債務を支払わねばならなくなった父の年になった。
当時の父に思いを馳せると、さぞや悔しく、孤独であったろうと思った。

大盛りの刺身を食べながら、
少し涙で目が充血している中年男の姿は妙に滑稽だった。

 

IMG_0680

 

 

 

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石山離宮 五足のくつ オーナー 山﨑 博文
下田温泉一の老舗『旅館 伊賀屋』の六代目として 天草下田温泉に生まれた天草育ちの天草男児。 2002年7月に、九州の西の果て、東シナ海を見渡す山に 全室露天風呂付き離れの温泉旅館『石山離宮 五足のくつ』をオープン。 趣味は散歩と温泉と水泳。旅行家としての一面も持つ。
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